二〇〇四年夏の温泉問題追及の記事に接し、行政に対して憤りや不信を抱いた人は多いことと思う。なにしろ、温泉に入浴剤を混入させようが、水道水を沸かして温泉と称しようが、温泉法を管轄する環境省ではなんら処罰ができないというのだから。行政で動くのは、県か市町村などの自治体である。しかし自治体も、結局は地場産業としての温泉観光業への打撃を心配して、「消費者の不信を招かぬよう指導を徹底します」などというコメントを発するだけであって、消費者の権利保護という観点からの動きではない。
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これまでの私の著書を読んだことがない人でも、これでは温泉の表示や質の管理等はまるで野放しだし、そもそも温泉法というものは何を取り締まる法律なのか、という疑問を持ったことだろう。当然のことである。はっきり言うならば、現在のところ温泉利用者の権利を保護してくれる法律は存在しない、といっても過言ではない。私がこれまで主張してきた、「現行温泉法はザル法である」という主張は、こういう現実を指摘しているのである。その指摘をより具体的にするため、まず温泉法という法律はいったいどういうものなのかを見てみたい。